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#オリジナル小説 #SS #ホラー 次の目覚めを

mugi


愛おしい人がいた。その人のことを深く、深く、愛していた。
けれど彼女が愛したのは別の人だった。
だから、ああ、その記憶を根こそぎ奪ってしまおう。
奪ったその記憶を灰にして燃やしてしまえば彼女はその人を愛することは無い。
だから僕は、寝ている彼女の頭を切開して、中から脳を取り出した。
記憶とは海馬に宿るものらしい。
ああ、でも海馬ってどこだろう、よくわからない。
解剖の図鑑を見て海馬の場所を探す。
他のところをなるべく傷つけないように探り当てた。
ああ、ここだ。これをなくしてしまおう。
僕は海馬を脳から引きちぎると。バケツの中に捨てた。
これを燃やそう。
後は大切に脳の中に戻して、丁寧に繋ぎ合わせて糸で縫っていく。
少し場所がずれたかもしれない、でも大丈夫。
彼女が次に目を覚ました時にはもうあの男のことなんてさっぱり忘れて、きっと僕だけを愛してくれる。
彼女の頬に飛び散った血液を綺麗に丁寧に布で引き取ってから、うっとりと眺めた。
だれよりも愛おしい人。早く目を覚まして、僕だけをその瞳に移してよ。
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Posted bymugi

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