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#オリジナル小説 #ファンタジー #ホラー 幸福なものたち 幸福な子ども05 完結

mugi

表紙03

05

屋敷には朝から来客で賑わっていた。来賓室の大きなテーブルにはこの場に招かれたスーツを着た大人が談笑しながら座っている。上座には屋敷の主。しばし談笑を楽しんでいるとガラガラと音を立てながら大きなフードを被せられたものがシェフの手により運ばれてきた。とたんに皆は静かになりそれに注視する。

「今回皆様をお呼びしたのは、他でもない、私が8年前に予約してあったものが届いたのです」

主の言葉に皆目を輝かせる。生唾を飲んだものもいた。屋敷の主がシェフに目配せするとシェフがフードを開け温かいさを伝える湯気と同時にいい香りが広がった。中にはこんがり焼けた美味しそうな肉が入っていた。


「あーあ。俺たちが掃除している間。やってきたジジイ共は美味い飯で接待受けてんのかあ」

随分と可愛らしい少女趣味の部屋にこの部屋には似つかわしくない男とメイドがひとり。掃除をしに入っていた。寝相が悪かったのかぐしゃぐしゃに丸まったシーツの上には誰もいない、メイドが布団からシーツを剥ぎ取っていく、布団からはすでに温もりは失われていてベッドにいた人物がここを空けてから時間が経過したことを示している。

「口ではなく手を動かしなさい」

「はいはい」

返事をしながら男はテーブルの上におかれていたお守り袋を手にとる、中に何が入っているのか気になって開いて見た。

「うげ。銀貨1枚くらいは入ってるかと思えば、ゴミが入ってる。きったねぇなあ」

袋の中には草臥れた四つ葉のクローバーがひとつ。見てみろよ、とメイドに摘んで見せると彼女は顔を顰めた。

「遊んでないで。さっさと掃除する」

「はいはい」

同じトーンで男は頷いてテーブルの上にあった草と緑の布切れと一緒にゴミ袋につっこんだ。


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Posted bymugi

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