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うさぎの皮を被ったねこ

#オリジナル小説 #SS ただの惚気話

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大学帰りの電車の中で惰眠を貪っていた俺はざあざあと窓に打ち付ける雨音で目を覚ました。傘持ってくるの忘れたのでコンビニで買って帰ろうかそれとも濡れて帰るか、どうしようかとぼんやりと思考が固まらないままいつもの駅を降りる。改札口を出ると見知った顔が「お帰り」と缶コーヒーを持った左手を上げた。右手には2本の傘。なんでこの平日に親父がいるんだ、しかもわざわざ出迎え。珍しいどころの話じゃないこんなこと初めて...

#オリジナル小説 #ホラー その小指に約束が 05 完結

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05優しい陽だまりのなか小さな女の子がふたり公園でシロツメグサを編んでいた。近くの教会の鐘が鳴り響きふたりは視線を向けたあと顔を見合わせて音のした方へと駆けていく。幸せな光景がそこにはあった。白いドレスに身を包んでいる花嫁と幸せいっぱいに微笑んでいる新郎。それを祝福するものも皆笑顔だった。女の子はそれに目を奪われてしばし惚けて、ふたりで綺麗だね!と笑いあう。「あたしが結婚式する時はお祝いしてくれる?...

#オリジナル小説 #ホラー その小指に約束が 04

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042年後6月気づくと随分と深く掘っていた、あの日のように全身ずぶ濡れで靴から水が染みて気持ちが悪い。矢張りと言うべきか遺体は見つからなかった。別の場所も掘ることを一瞬思考したがすぐに掻き消す。これ以上は時間の無駄だ。スコップを手に山を下る。風も出てきた、後方で鳴り響く雨と風が女の叫び声に聞こえてならなかった。帰宅した頃には0:00を回っていた。体が重い、玄関にタオルなど用意しておらずフラフラとした足取り...

#オリジナル小説 #ホラー その小指に約束が 03

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032年前 6月剛には付き合っている彼女がいた、熊谷涼子。ともうひとり、倉田綾奈。涼子とは付き合ってかれこれ3年と経つ。綾奈とは相席カフェで出会った。剛は見知らぬ人と話をしてみたい気分だっただけで別に浮気をしてやろうとかそういうことを考えていたわけではない。綾奈自身も友人を探しに来たと言っていた。綾奈はとても綺麗な顔立ちをしていた、10人に聞いて誰もが美人というだろう。友人から恋人へと至るには時間はかか...

#オリジナル小説 #ホラー その小指に約束が 02

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02次の日、朝日が眩しくて剛は瞳を開けた。夜には閉めていたはずのカーテンが開かれている、隣を見ると涼子の姿がない。カーテンを開け広げたのは彼女だろう。あの後もう一度眠ってしまえば気持ちは大分落ち着いていた、夢で再び魘されることもなかったし、何もあの指輪でそんなに怖がる必要はなかったのではないかと思いはじめていた。たかが指輪だ。それが何故家にあるのかなんて知らない。けどきっと何かの拍子で間違って持って...

#オリジナル小説 #ホラー その小指に約束が 01

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土砂降りの雨が男の体を打ち付けていた。安物の合羽は意味をなさずTシャツに染み、ぬかるんだ地面に靴が沈み長年愛用しているスニーカーは泥まみれになっている。それでも男は一心不乱に穴を掘り続けている。誰もいない林のなかスコップを地面に突き立てる。夜中にこんな場所に人が来るはずがないと思いながらも、もしかしたら誰かが来てしまうかもしれないという気持ちが余計に男を急き立てる。男の傍には女が横たわっていた。シ...